本領域は、有機化学の手法と無機元素ブロック作製技術を巧みに利用した革新的合成プロセスにより、多彩な元素群で構成される“元素ブロック”を開拓し、その精密結合法の開発によって従来の有機高分子を凌駕する電子・光学・磁気機能制御が追究できる“元素ブロック高分子”を開拓する。さらに、非共有結合による相互作用や異種高分子成分のナノ相分離を利用した界面階層制御法の開拓によって、固体状態で有機高分子材料と無機材料のトレードオフを高度なレベルで融合させる革新的概念に基づく“元素ブロック高分子材料”の創出とその学理の確立を目的としている。  ゼオライトやグラファイトなどの共有結合性無機材料やエレクトロセラミックスなどのイオン性固体に代表される高機能無機材料は、熱力学的に安定な構造を作り出すものであり、多彩な構造の分子を自在設計が可能な有機高分子またはポリシロキサンなどの無機高分子のような合成概念は存在しない。最近、無機元素が規則的・空間的に配置されたクラスター化合物など、従来の有機物では達成できない機能を有する無機元素ブロックが合成されるようになってきた。この無機元素ブロックに有機化学の手法を巧みに組み込むことで、例えばホウ素クラスターとπ共役系炭素を巧みに組み合わせて、LUMO準位等の精密制御が可能な、有機にも無機にも分類されない元素ブロックが生み出されている。これらを共役系鎖で結合させる高分子化により、発光波長・量子収率を変化させることができ、さらに電子豊富元素架橋π電子系ブロック高分子とのナノ相分離を利用した階層界面制御によってpn接合半導体など自在にエネルギー準位とその空間配置を制御した、従来の有機高分子や無機材料では達成できない革新的半導体デバイス構築が期待できる。そこで、多彩な元素群で構成される構造単位(元素ブロック)を新たに設計合成し、これらを高分子化させる手法と、所望の機能を発現するように高次化および階層界面制御する手法を獲得することで、従来の有機高分子材料では不可能な電子・光学・磁気特性と、従来の無機材料の欠点である成形加工性と自在設計性を、高度なレベルで共有する高分子材料の創出が期待できるという着想に至った。  本領域を創成し発展させるためには、従来の有機、無機、有機金属、および高分子それぞれの合成手法と低次元無機ナノ構造作製技術を高度に組み合わせて新材料を創製するとともに、その機能・物性の解明、理論面からの積極的支援が不可欠である。そこで、世界的一線級の研究者を中核とし、本領域に興味のある幅広い分野の若手研究者を公募して参画させ、国際的にも稀有な研究グループを組織し、研究連携を強力にマネジメントすることで、高分子材料分野における新たな学術領域を世界に先駆けて創成するとともに、視野が広く、新しい概念の創出に意欲的な若手研究者の育成を学際的に推進する。
 
A01 元素ブロック設計
平成24年度は有機化学、無機化学または有機‐無機ハイブリッド化学それぞれの観点から、A02班との連携によって高分子化を見据える。 その上で、卓越した物性および光・電子機能の発現と緻密制御が期待できる典型元素、遷移金属元素や特異な元素間結合と有機骨格とを 融合した元素ブロック、従来の有機物では達成できない機能を有する構造とサイズを精緻に制御した無機クラスター化合物に有機官能基を 導入した元素ブロックを設計するための基盤となる課題を、A04班が提示するモデルケースライブラリーを補強しつつ明らかにする。 平成25年度以降は、参画する公募研究者、およびA04班のマネジメントの下、若手公募研究者の様々な独創的シーズを元素ブロックとして 適切な連携・共同研究を通して育成し、A02班・A03班との連携によって高機能元素ブロック高分子材料の創出を図る。

A02 高分子化制御
平成24年度は、有機合成および有機金属化学的手法または無機化学的手法による元素ブロック高分子化、さらに高分子反応を用いた 元素ブロック導入による元素ブロック高分子を設計し、A01班とA03班との連携を通じて、一次構造と高次構造形成および材料物性の関係を検討することで、精密一次構造制御に関する基盤となる課題を明確にする。特に元素ブロックの剛直骨格と連結部の柔軟骨格とのバランスによる高次構造形成、多官能性元素ブロックの重合により得られる多分岐ポリマー化、および高次化に重要となる元素間の弱い相互作用の利用による高次構造形成について検討し、A04班が平成25年度以降に発信するモデルケースライブラリーを補強する。平成25年度以降は、参画する公募研究者、およびA04班のマネジメントの下、若手公募研究者の様々な独創的シーズを元素ブロックとして適切な連携・共同研究を通して育成し、A01班およびA03班との連携を通じてA01班とA03班間の橋渡しの役割を担うことで、元素ブロック設計から材料開発まで視野に入れて研究できる人材の育成によって高機能元素ブロック高分子材料の創出を図る。

A03 界面階層制御
平成24年度は、各種高分子の表面・積層界面構造制御と物性評価、および光学・電子特性を追及する有機‐無機ハイブリッド材料設計合成に実績のある研究者によるA01班、A02班およびA04班との連携・共同研究を通じた元素ブロックならびに元素ブロック高分子を用いた界面および階層制御、多官能性クラスター型元素ブロックの三次元空間制御に関して基盤となる材料づくりに関する課題を明確にする。さらに、電気・磁気・光学特性評価に実績のある研究者との連携によって、将来の超機能を担う新素材への飛躍的展開を見据えた材料設計に関する課題を提示する。平成25年度以降は、A04班のマネジメントの下、参画する若手公募研究者の様々な独創的界面階層制御技術を元素ブロック高分子材料創出に生かすとともに、独創的元素ハイブリッド高分子の高性能・高機能材料化を適切な連携・共同研究を通して発展させることで、元素ブロック設計から材料開発までを視野に入れて研究できる人材の育成が可能となるので、将来の超機能を担う高機能元素ブロック高分子材料の創出を図る。

A04 シーズ包括育成
本領域を真に新規性の高い独創的な学術領域に押し上げるためには、狭い分野に留まらない異分野の手法と考え方を広く取り入れることによる、突然変異によるブレークスルーが必要である。平成24年度は、元素ブロック高分子の創製と高次化に実績のある領域代表者と多彩な元素からなる材料に関する理論的解析に実績のある研究者を配置し、元素ブロック高分子材料創出のモデルケースを提示することで、班内および班間の共同研究を強力に推進する基盤を確立する。 平成25年度以降からは、多彩な元素を利用しようという本領域の特徴から、有機化学、無機化学、高分子化学、有機金属化学などを基盤とし、従来の有機高分子材料、無機材料、有機‐無機ハイブリッド材料を超える未来材料を自らの手で創出したいという若手研究者を公募により参画させることで、異分野交流による新発想を育て、領域代表者を中心としたマネジメントを通し、A01、A02、およびA03班でそれぞれ開催される班会議へ出席させ、相互交流および共同研究の推進による人材育成を通じた学術水準の向上を図ることで、本領域終了後に、超機能を担う新素材への飛躍的な展開が期待できる元素ブロック高分子材料の創成と学理の確立を強力に推進する役割を果たす。